No.2 ─ 炎上・沈没する舟 ─
金井勇一郎(金井大道具)


 スーパー歌舞伎第7作目「新・三国志」は平成10年6月より準備がはじまり壮大なこの長編を4時間の上演作品にまとめるかで脚本の横内謙介氏も相当苦労なさったようだ。
 装置に関しては今回は3幕各場にビジュアル的に大きな見せ場を取り入れるという演出家・市川猿之助さんのコンセプトがありそれを中心にして打ち合わせが進行していった。
 1幕が中国の京劇員による立ちまわり、2幕が赤壁の戦いの舟、3幕が夷陵の戦いの大雨という場面では3つの大きい要素となった。
 今回は2幕の赤壁の戦いにおける舟の炎上沈没の装置にかんして簡単にご説明したいと思います。
 演出家のイメージはタイタニックの沈没シーンでかたまっており迫りで舟を沈めるということは別に問題はなかった。しかしながらそのまま舟が迫りで沈んでいくのはあまりにも不自然なためにへさきを上にあげて船尾から沈んでいく舟にしなければならなかった。こういう場合やはり役に立つのが油圧システムであり図Aのイメージ図面をもとに舟の前半分を油圧のシリンダーで船首を持ち上げるシステムにして迫りが沈むと同時に船首をあげるとあたかも船尾から沈んでいくようにみえてくる。

こういう場合やはり役に立つのが油圧システムであり図Aのイメージ図面をもとに舟の前半分を油圧のシリンダーで船首を持ち上げるシステムにして迫りが沈むと同時に船首をあげるとあたかも船尾から沈んでいくようにみえてくる。しかしながらこの舟には図Bに示されてるように火のマシーンのユニットが12台と俳優3名(そのうち1人はへさきにぶらさがる)及び舟の小屋の中に操作員3名がいてそれぞれのタイミングがあわないと非常に危険なので舞台監督をはじめ操作員の方々も相当気苦労が多かったかと思います。
 もう1つの問題点は新橋演舞場ではまわり盆と迫りを使用して舟を半回転させながら沈ませることができたのですが、名古屋中日劇場及び大阪松竹座では3幕の大雨の装置(間口36尺・高さ24尺・重さ40トン)を舞台後方に置くためにまわり盆が使用できずに舟自体を回転移動させなくてはならず、舟自体にも回転駆動装置を取り付けさらに複雑なシステムになり各部署の連帯操作がますます重要になってしまった。
 この記事を書いている時点では大阪の初日はまだあいていませんのでテクニカルリハーサルで問題点を解決していく予定であります。(名古屋中日劇場では迫りは使用せず、舟の回転のみでの演出) 今回の舟の炎上沈没装置は各セクションの連携が非常にうまくいき1つの大きな場面をつくりあげたとおもっております。


金井大道具(株) FAX.03-3206-8756