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■舞台美術家の著作権はどこまで認められるか■
舞台美術において、 道具帳、図面、模型、衣裳のデザイン画等すべてが著作物であり、著作権法の保護を受けることになります。そして、それらの著作物の利用に関して、舞台美術家は、独占的な許諾権を持っています。
■舞台美術家が行使できる権利■
舞台美術家は、プロデューサーや劇団などの主催者から、ある特定の公演に関して、装置や衣裳のデザインを依頼されます。舞台美術家は、その依頼を受けて道具帳やデザイン画などの著作物を創作します。この著作物の著作権は、著作者である舞台美術家が専有します。そこで、主催者は報酬を支払うのと引き替えに、舞台美術家から著作物の利用許諾を受け、この著作物を利用して、装置や衣裳を製作します。ここで製作された装置や衣裳は、原則として著作物の複製(コピー)にあたります。
また、著作者人格権によって、舞台美術家は氏名表示権および同一性保持権を主張することができます。つまりクレジットの表示を主催者に要求すること、および無断でデザイン変更することを禁止することができるわけです。
■再演の場合■
それでは、再演の場合はどうなるのでしょうか。
デザインが変わっていなくても、あらためて装置や衣裳が製作される場合は、当然道具帳やデザイン画などの著作物を複製することになりますから、舞台美術家の許可が必要ですし、少なくとも初演時と同じ額の報酬が支払われるべきと考えられます。
問題になるのは、初演時に製作された装置や衣裳が保管されており、再びその製作物を使って、再演が行われる場合です。
保管されている装置や衣裳が主催者の所有物であることは確かですが、上演での使用にあたっては、舞台美術家の著作権が利用されていると考えられます。
前述のように、製作された装置や衣裳は、著作物の複製にあたります。そして、この複製は上演という形で利用されます。舞台美術家は、この特定の期間の、特定の公演における複製物の上演利用を許諾したわけですから、それ以外の期間の公演に使用することや、別の演目に流用することを禁止することができるはずです。
初演時の契約で特に再演について取り決めがないかぎり、再演時にはあらためて舞台美術家に対して、著作物利用の許諾が求められるべきです。初演時の報酬は、初演についての著作物使用料と考えられますから、再演時には、再演分の著作物使用料を請求する権利が舞台美術家にあるわけです。
また、再演の際、役務(仕込みや舞台稽古への立ち会い等)が必要な場合、著作物使用料とは別に、これに対する報酬が支払われなければなりません。
双方にとってトラブル回避の為に重要なのは、契約の際に公演の期間を明確にしておくことです。どこまでの公演に対する報酬か、ということを契約時にはっきり定めておかなければなりません。
■売り渡しの場合■
レパートリーシアターなどの場合、デザインそのものを完全に売り渡してしまうことがあります。これは、著作者からプロデューサーなり劇団なりに、著作権の中の複製権や上演権が譲渡されたことになります。したがって、舞台美術家はその著作物に対して、二度と複製権や上演権を行使できなくなります。複製権を買い取った相手は、その後、その著作物を利用して、装置や衣裳を製作することができ、また、それを半永久的に使用し続けることができるわけです。売り渡しの場合、通常よりデザイン料がかなり高額に設定されるのはこのためです。
また、舞台美術家が、一度誰かに売り渡したデザインを他の団体の公演などに使用し、同じデザインで装置や衣裳を製作すると、逆に譲渡した相手の著作権を侵害することになります。
ただし、著作人格権は譲渡できないので、複製権や上演権を譲渡したからといって著作者人格権が失われたわけではありません。その著作物を利用した公演に際しては、クレジットの表示を要求できますし、勝手にデザインを変えることも禁止できます。 | |
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